みなさまのキャリアデザインを実現するために、社内でのキャリアパスを検討したり、転職によるキャリアチェンジを検討したりと、様々な可能性を検討して実践していると思います。
理想のキャリアを実現する方法は様々ありますが、そのひとつに資格取得があります。
資格取得のポイントは、現状の業務やキャリアを継続しながら、キャリアを補完するような知識や証明を獲得できることにあります。
あなたの目指すキャリアにダイレクトにかかわる資格であったり、キャリアを補完して強みをより強化する資格であったり、複数の資格を組み合わせることで相乗効果が得られる場合もあります。
一方で、資格を取得するにはやはりそれなりの学習時間が必要です。特に、社会的に付加価値の高い高難易度資格の場合、1,000時間を超える学習時間が必要な資格もあります。
高難易度の資格はやはり社会的に価値が高く、社内での人事評価にプラスになったり、転職の際に有利に働くことはあります。
難易度がそれほど高くない資格は国家資格と言われるものの中にもあります。難易度に応じた評価をされてしまうので、あまりメリットがない場合が多いです。ただし、あなたのキャリアを補完する用途で取得するのであれば意味のあるものになるので、キャリアデザインを加味した資格取得を計画しましょう。
今回は、キャリアデザインの実現を支援するための資格取得について、様々ある資格の中から有益なものを紹介していきたいと思います。
資格取得の目的とは?
はじめに、資格を取得する目的を整理していきましょう。
資格といっても、資格には国家資格、公的資格、民間資格があります。
国家資格は文部科学省の定義によると以下の通りです。
国家資格とは、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/014/shiryo/07012608/003.htm
国家資格は国の法律に基づいて社会的地位が保証される、とあります。資格の中では最も信頼性が高く、キャリアをサポートするという目的からすると、みなさまは基本的には国家試験を目指すべきです。
では公的試験とは何でしょうか。
公的試験は、文部科学省や経済産業省などの省庁が認定している資格で、国が法律で認定しているわけではありませんが、国家資格に次いで信頼性が高いと言えます。
最後に、民間資格とは何でしょうか。
民間資格は民間企業や団体がそれぞれ独自の審査基準により審査し、認定する資格です。公的な有効性は保証はありませんので、キャリアをサポートするという意味ではお勧めしません。
このように、資格には大きく3つの分類がありますが、先述の通り、基本的には国家資格ないし公的資格の取得を目指すことが望ましいと言えます。
次に、資格を取得することによるメリットを見ていきましょう。
資格取得を目指すメリット
続いて、資格取得のメリットについて説明します。
大変な勉強を、時間をかけて行い取得する資格試験ですから、取得・保持することでいいことがないとモチベーションは上がりません。
ただし、先述の通り資格にも種類があり、すべての資格に以下のメリットが当てはまる、というものではありません。やはり試験の難易度に比例して、資格の信頼性は高まると考えてください。
勉強によりスキルや知識を身に着ける
資格の勉強によるスキルや知識を身に着ける。これが資格取得の本質と言えます。
資格を取得するために勉強し、資格受験にふさわしい知識を身に着けることが最大のメリットです。
仮に資格試験に落ちてしまったとしても、勉強して得られた知識はなくなることはなく、自身の財産となります。とはいえ、せっかく勉強したので合格するまで何度かチャレンジしてみることをお勧めします。
これは国家試験でも公共試験でも民間の試験であっても共通のメリットと言えます。得られる知識の大小や分野に偏りがあるかもしれませんが、いずれにせよあなたの血肉となるはずです。
独占業務や名称独占業務に従事できるようになる
資格を取得することで独占業務に従事することができるようになります。
独占業務とは、特定の国家資格を持っていることで実施が可能なる業務を言います。つまり、資格を持っていないとできない業務です。
独占業務とは例えば、司法書士や行政書士、社会保険労務士や気象予報士などがあります。
これらは資格を持っていないと従事できない業務と言えます。逆に言うと、司法書士や気象予報士になりたい方は必ず資格を取得しないといけないということです。
転職の際のアピールポイントとして利用する
転職をしようと思った場合、履歴書や職務経歴書という書類を準備します。その際に、必ずあるのが資格を記載する欄です。
資格を保持していることで、あなたがどのような勉強をしてきて、どのような知識を持っているかが採用担当に伝わります。高難易度な資格であればライバルとなるほかの候補者との差別化になりますし、あなたの能力をアピールする要素のひとつとなります。
資格を持っているから確実に転職できる、というわけではもちろんありませんが、有利に働くことがあるので積極的に取得するようにしましょう。
キャリア形成に役立つ資格は?
さて、ここでは本題であるキャリア形成に役立つ資格をいくつか紹介します。
資格と言っても、国家資格だけでも300程度あるのですべて紹介することはできません。国家資格の中でも特に難易度が高く、有益と言われている資格をいくつかピックアップして紹介します。
3大国家資格
3大国家資格、と呼ばれる資格が医師、弁護士、公認会計士です。
いずれも国家資格としては最難関で、保持しているだけでステータスと言えます。資格がそのまま職種になっており、受験するために条件があることも特徴です。
医師(医師国家試験)
いわずと知れた最難関の国家資格です。医大を卒業、もしくは卒業見込みであることや、予備試験の合格が受験の前提条件です。受けるためのハードルが高いと言えます。
合格率は90%以上と言われていますが、医大を卒業する学力のある方が一生懸命勉強しても10%は落ちる、という試験なので、一般的なレベルから見れば難易度は高いのでしょう。
基本的には医者というキャリアを目指している方が、大学入試前から目標にしている資格であるため、本ブログの趣旨には合いませんが紹介しておきます。
弁護士(司法試験)
こちらも言わずと知れた難関資格で、法科大学院(ロースクール)を出ているか、予備試験に合格していることが受験の前提条件です。誰でも受けられる試験ではありません。
司法試験の合格率は40%超と、医師国家試験よりは低いですが思ったより高めです。やはり、そもそもの受験者を絞っていることがその要因と言えます。
また、予備試験からの司法試験合格率は90%程度であり、ロースクール経由より高いことが特徴です。そもそも予備試験の合格率が4%程度のため、最難関は予備試験、とも言えます。
こちらも基本的には法曹のキャリアを目指している方が取得することが多い資格です。
公認会計士
難関3大資格のうち、唯一受験に条件がなくだれでも受けられる資格が公認会計士です。企業の監査を行う監査・会計の専門家で、監査法人で働くためには必須の資格です。
約3,000時間の勉強時間が必要と言われ、合格率は7%程度です。誰でも受けられる資格なので、合格率は司法試験や医師国家試験に比べて低くなっています。
5大国家資格
3大難関国家資格に対して、もう少し裾野を広げて5大難関資格という分け方もあります。
3大資格から医師を除いて、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、弁理士、技術士がそれに該当するといわれています。
不動産鑑定士
不動産鑑定士とは、不動産の適切な価格を鑑定する専門家です。
不動産の鑑定には借地権などの関連する法律の知識や地理的要因や経済状況を踏まえた評価が必要となります。その結果は不動産鑑定評価書にまとめられますが、不動産鑑定書の作成は不動産鑑定士の独占業務です。また、有効な土地活用についてアドバイスるすることも不動産鑑定士の職務のひとつと言えます。
不動産鑑定士の試験は誰でも受験することができ、筆記試験と論文試験に分かれます。合格率は33%前後を推移しており、比較的高いと言えます。
なお、不動産鑑定士として実務に従事するには、1年から2年の実務研修が必要となります。実務研修を終えると、晴れて不動産鑑定士として登録ができます。
弁理士
弁理士とは特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産の専門家です。
知的財産に関する相談、特許庁への手続きの代理、権利侵害の調査や侵害された場合の対策など、知的財産に関する幅広いコンサルティングを行うことがミッションです。
知的財産に関する法律は年々更新されていくため、都度研修等によるキャッチアップを行う必要があります。
弁理士試験の合格率は6%~7%と非常に低く、難易度の高い資格を言えます。出題範囲が非常に低く、筆記試験、論文試験、口述試験の3段階に分かれていることが特徴です。
技術士
技術士とは、科学技術に関する技術的な専門知識と豊富な実務経験を有した専門家です。
機械や化学、建設など文部科学省が定める技術分類ごとに認定されます。
試験は1次試験と2次試験に分けて行われます。1次試験は誰でも受験可能ですが、2次試験は1次試験合格後に4年から7年の実務経験がないと受験できません。4年以上の実務経験を有する受験者のみで2次試験の合格率は10%超ですので、かなりの高難易度資格と言えます。
独占業務が認められる資格
資格には、取得することで独占業務が認められるものがあります。
独占業務とは、業務を遂行するために資格を要するもので、資格がないとその業務を実施できないということです。
行政書士、社会保険労務士(社労士)、司法書士、税理士、宅建士などがそれにあたります。
行政書士
行政書士は、官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成、代理、相談を行う専門家です。
行政書士試験に受験資格は無く、誰でも受験できます。試験は3時間の筆記試験1回のみで、例年11月ごろに行われます。合格率は13%前後なので合格難易度は高いと言えますが、試験にパスすれば資格を得ることが可能なので挑戦してみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士
社会保険労務士とは、社労士とも言われますが、企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」や「年金の相談」に応じる専門家です。
社会保険労務士の試験を受験するためには、短大卒相当以上の学歴が必要です。受験資格の証明書(卒業証明書)等が必要となります。
試験は年に1回、8月ごろに行われます。ほぼ1日の長丁場ですが、マークシート式で記述試験はありません。合格率は6%~7%と、やはり難易度は高いと言えます。また、社会保険労務士として登録するためには、2年の実務経験が必要となります。
司法書士
司法書士は法務局、裁判所、検察庁などへ提出するための書類を作成する専門家です。
行政処理が役所に提出書類を作成する専門家であるのに対し、司法書士は法律に関する知識に基づいて裁判所等への提出書類を作成します。
弁護士が法律全般の業務ができることに対し、司法書士は書類作成や登記など、一部の業務を行うことができます。
司法書士は受験資格がなくだれでも受験可能です。年に1度の筆記試験が行われ、筆記試験に合格すると口述試験を受験することができます。合格率は5%前後と狭き門と言えます。
税理士
税理士は個人や法人に対して税金、納税に対する資料作成やアドバイスを行う専門家です。税務書類の作成、税務代理、税務相談は税理士だけに認められている独占業務です。
税理士試験は他の国家資格試験とは少し変わっており、11科目の中から5科目の科目に合格することで、税理士試験合格となります。
3日で11科目の試験が行われ、1年のうちには5科目までしか受験できません。通常、数年かけて取得を目指します。合格率は約15%程度です。税理士として登録するためには2年以上の実務経験が必要です。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は宅建士とも呼ばれ、不動産の取引・契約の専門家です。賃貸アパートを借りるときに重要事項説明をするためには宅建士の資格が必要です。
需要が高く、毎年20万人以上が受験する人気の資格です。その理由は、不動産仲介会社では5人に1人宅建士を配置することが義務付けられており、不動産仲介業を行ううえでは必須の資格と言えるからです。
年に1回、10月ごろに2時間の試験が行われます。合格率は15%~17%程度で、幅広い層が受験していることを考えると合格は目指しやすい資格と言えます。
IT関連の資格
ちょっと業種を絞って、IT業界で活躍する資格をピックアップします。
ITの専門家として認められるレベルの資格は応用情報技術者試験以上と考えます。
情報処理技術者試験の高度試験であるITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャなどは、取得難易度も高くITの専門家と名乗るにふさわしい資格と言えるでしょう。
高度情報処理技術者
IPA(情報処理推進機構)が行うITスキルを評価するための試験です。情報処理技術者試験は基本情報、応用情報、高度情報の順に難易度が高くなっていきます。
高度情報処理技術者には、ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、ITサービスマネージャ、システム監査技術者、情報処理安全確保支援士があります。
春と秋に2回行われますが、情報処理安全確保支援士以外は年に1回の実施です。それぞれ合格率は約15%前後となっています。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は高度試験の前段階で受験すべき資格ですが、一人前のIT専門家として認知されるためには取得しておきたい資格です。
春秋の年2回行われ、合格率は20%前後です。
その他、ITの入門資格としてITパスポートや基本情報技術者試験がありますが、取得難易度は高くなく、キャリアサポートという観点では少し弱いです。
IT以外の業種の方が、ITの簡単な知識を持っていることを証明する目的で取得することは有意義です。IT関連の資格については「ITエンジニアが持っておきたい資格は?」の記事でも紹介していますのでご参照ください。

コンサルタントの資格
キャリアとしてコンサルタントを目指している方向けの資格を紹介します。
ただし、コンサルタントといってもどの業種の何に対するコンサルか?によって、組み合わせる資格が必要になってくる場合があります。
中小企業診断士は唯一の経営コンサルタント向けの資格ですが、コンサルするにあたっては自身の確固たる専門分野を少なくともひとつは持っておかなければなりません。
それに加えて、資格を保持していることにより知識のサポートや、目に見えてわかりやすい信頼感をクライアントに与えることが可能となります。
中小企業診断士
中小企業診断士は唯一の経営コンサルタントのための国家資格です。
広範囲の出題範囲からなる1次試験、記述中心の2次試験があります。合格率は1次、2次合わせると6%~7%くらいで、難易度はかなり高い資格と言えます。
中小企業診断士については「中小企業診断士とは?」の記事でも紹介していますのでご参照ください。

MBA:Master of Business Administration
MBAは資格ではありませんが、経営学修士と呼ばれ、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位です。経営者や経営コンサルタントを目指すうえでは箔になると言えます。
キャリア形成に有効な資格
上記のほかにも、キャリア形成に有用と考えられる資格はたくさんあります。
特に、財務やファイナンス系の資格は、それ単独でも転職するのに役立ちますが、本業が財務以外の方は本業と合わせて持っているとキャリアの幅が広がるでしょう。
どのような仕事も財務、つまりお金とは切り離して考えることはできません。自社のバランスシートくらいはしっかり読めるようになっておくことが肝要ですね。
ファイナンシャルプランナー
個々人のライフプランをお金の面からサポートし、最善策をアドバイスする資格です。3級、2級、1級があり、キャリアサポートという意味では2級以上の取得が望ましいです。
日商簿記(1級、2級)
資格と言えばもっともメジャーなのが簿記でしょう。中でも日商簿記は玲根の多くの受験者が取得を目指して受験しています。
2級まではテストセンターでのCBT方式で受験できるのもうれしいです。
おわりに
さて、今回はキャリアを実現するためのひとつの手段として資格取得があることを紹介しました。
資格取得により、単純に自身に知識が身につくこと、国家資格であれば社会的に保証されることがメリットとして挙げられます。
さらに、高難易度の資格は社内のキャリアアップであったり、転職の際に有利に働くこともあります。
大事なことは、複数の資格を組み合わせて取得することです。
IT業界ではたたいている人が情報処理の資格を持っているのは良くあります。財務の仕事をしている方はたいてい簿記を持っているでしょう。
あなたのキャリアデザインに合わせて資格取得を行うことは大事ですが、ITの専門家が財務系の資格を取るなど、自身のキャリアを底上げするだけではなく、横に広げるような使い方も資格取得では可能です。
キャリアデザインをサポートする手段として、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
当ブログでは、あなたのキャリアデザインを考えるための一助となる記事をこれからも発信していきます。

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